「自衛隊興味あるけど、就職先としてどうなんだろう?」 「入隊したとしても定年までやっていける仕事なのかな?」
このような不安や疑問を抱えている方、いるのではないでしょうか?
今回の記事は、元自衛官の僕が自衛隊のメリット・デメリットについて話していきます。
自衛隊のメリット
1.ノルマがない
自衛官は特別職国家公務員です。つまり、公務員です。
公務員は基本的にノルマはありません。
しかし、部署により異なりますが、省庁で働く国家公務員や市役所職員、警察官などの地方公務員はサービス残業が多いです。 そのため、ノルマがなくても長時間のサービス残業でキツイ思いをしている方が少なくないです。
ところが、数ある公務員の中でも自衛官は本当にノルマとサービス残業が少ないです。
「いや、夜通し訓練とかしてるでしょ!」
という意見がある方もいるでしょう。確かに夜通しの訓練や勤務は存在します。 しかし、部隊によりますが夜通しの訓練は毎日やっているわけではありません。
それ以外は、ほとんどサービス残業はないのです。
2.定時で帰れる
自衛官は、訓練や特別な勤務がない限り、ほぼ定時で帰れます。
これも役職や部隊によりますが、何も役職がない一般隊員には残業するほどの業務がないです。
僕も自衛隊にいた頃は、18時までには営内(駐屯地内にある寮みたいな宿舎)に帰れていました。 外で暮らしている先輩も、終礼が終わったら速攻で帰っていました(笑)
基本的に何も役職がない人は、定時で帰れるのです。
3.基地内に住めば生活費ゼロ
自衛官は、駐屯地や基地の中に住んでいれば生活費はかかりません。
家賃、光熱費、水道代、電気代、食費すべてが無料です。 給料全額がお小遣いみたいなものです。
外出せずに過ごせば、勝手にお金が貯まります。
僕が自衛隊にいた頃、風俗とパチンコで貯金と手持ちのお金をすべて使い果たした同期がいました。彼はお金を貯めるために1か月一度も外出せず、駐屯地内の売店も使わないという生活をしました。食事は、駐屯地の食堂のみ。 飲み物は、水道水やジュースじゃんけん(負けた人がすべておごる)で勝ち取った戦利品で凌いでいました。 その結果、無事に10万円ほど貯めていました。(携帯料金などでほとんど消えたらしいですが)
このように、駐屯地や基地の中に住めば生活費はかからないのです。
4.スキルなしでもOK
自衛隊はスキルや資格などは必要ありません。
そもそも自衛隊ではどんなにすごい資格をもっていても、役立つ場面がないです。 そのため、今までの資格・経験などは必要ないです。
自衛隊に必要な資格は、入隊してから各部隊の計画で取得します。
5.入隊しやすい
自衛隊はすべての公務員の中でも、特に試験のハードルが低い職種といえます。
自衛隊の試験は、自衛官候補生と一般曹候補生、幹部候補生、航空学生などの枠があります。
その中でも、受かりやすい試験が自衛官候補生と一般曹候補生です。
これらの試験は、高校卒業レベルの学力が必要とされています。 ところが、実際には中学卒業レベルの学力でも全然受かります。 基本的には、入隊したいという思いや身体障害などの大きな問題がなければ受かるでしょう。
試験の際には、自衛官になりたいという強い思いを伝えてください! 言葉が途切れ途切れでも、しどろもどろになっても思いを伝えることが大事です。 合格する可能性が格段に上がります。
6.収入が安定している
これが自衛官の一番のメリットだと思います。
自衛官は公務員ですので収入が安定しています。 世の中が不景気でも関係なく、給料とボーナスは貰えます。
そのため、給料がいきなり下がることはないので、月々のローンも計画通りに支払い続けることができるでしょう。
自衛隊のデメリット
1.制約が多く、不自由
自衛隊の一番のデメリットです。
自衛隊は非常に規律が厳しく、制約が多いです。
例としては、外出時間の厳守や民間の病院を受診する場合は必ず報告と事務処置をすることなどが挙げられます。
僕が特にキツイ思いをしたのが、外出関係です。 コロナによる緊急事態宣言が出ていたときは、ほぼ1年間まともに外出することができませんでした。 外出制限は部隊により違いますが、本当にキツかったです。
しかし、規律は部隊の綱紀粛正を図るために必要なことなので、厳しいのはしょうがないことだと思います。
2.幹部自衛官はとても大変
幹部自衛官はとにかく忙しいです。
特に尉官クラスの方はとても大変だと思います。 この階級の方は、会社でいうと中間管理職と同じで上と現場からの板挟みになりながら、自分の本来の業務をこなしています。
初級幹部のうちは業務量が多く、経験不足で残業をしないと仕事が終わらないことがほとんどです。
しかし、経験を重ねることで効率的に仕事ができるようになり、昇任(会社でいうと昇進)していくことで、大勢の部下を束ねる立派な指揮官に成長していきます。
特に昇任欲求もなく、ストレス耐性が弱い方は一般隊員で頑張っていくのも一つの考えです。
3.転属が多い
自衛隊は一般隊員や幹部問わず転属(会社でいうと転勤)があります。
転属先は職種や部隊によりますが、北は北海道、南は沖縄まで様々です。
都会に近い駐屯地や基地なら娯楽が多く利便性も良いですが、人間よりも鹿の数が多い僻地や自衛隊以外に何もない離島への転属がある職種や部隊も存在します。
独身の方なら気楽に転属できますが、所帯持ちの方は家族と良く話し合って、単身赴任か帯同なのかを決めることが大事です。
4.パワハラ
自衛隊は完全な上意下達の組織であるため、上の立場の方のパワーが強いです。 そのため、パワハラなどの問題は非常に多いです。
自衛官は「上官の職務上の命令に忠実に従わなければならない」という義務があります。 この義務を良いように解釈して、部下や後輩に横柄な態度をとる方が原因なのです。 また、「自分も今まで上官にやられてきたので、部下にも同じことをする」という潜在的な考えもあるかもしれません。
さらに、自衛隊は閉鎖的な組織なので、不祥事が公になりにくいという特性もパワハラ問題に拍車をかけていると言えます。
しかし、最近では世間も自衛隊のパワハラ問題を注視しているので、自衛隊は厳しいパワハラ対策を実施しています。 そのため、昔と比べて職場環境は徐々に良くなってきています。
パワハラにあったとしても、信頼できる上官や先輩、同期など誰でもいいので相談しましょう。
5.定年が早い
自衛隊は常に部隊の精強さを維持するため、若年定年制を実施しています。 階級にもよりますが、多くの隊員が55歳前後で定年退職をしています。
そのため、再就職活動をすることになります。 自衛隊では手厚い就職援護があるため、再就職に困ることはないです。
しかし、大幅な年収減は避けられません。 子供の学費の支払いや家のローンの返済は、定年から逆算して計画的に行いましょう。
まとめ
このメリット・デメリットは何度も言うように、職種や部隊により変わります。 自分に合った職種や部隊に配属されるかは、教育での成績と適性検査、運で決まります。
自衛隊のデメリットを聞いて、不安をさらに抱いてしまった方がいると思います。
しかし、自分が自衛隊に入りたいと思ったら入るべきだと思います。 人生は一度きりです。 自分のやりたいこと、経験したいことはすぐに実践したほうが良いです。 あとで後悔してからは遅いです。
それに、自衛隊がすべてではありません。 合わない、キツイと思ったら辞めて良いのです。 定年まで続けようと意気込んで入るのではなく、自分に合った仕事なら続けようとか、楽しいと思ったら続けてみようなどの気持ちで十分です。
この記事が自衛隊への入隊を考えている方の参考になればと思います。
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