みなさんは「軍隊」と「自衛隊」の違いを知っていますか?あれ?自衛隊は軍隊ではないのでしょうか?軍隊ではないのなら、「軍隊」と「自衛隊」の違いはなんなのか?
今回はその違いについて元自衛官が説明していきます!
「軍隊」と「自衛隊」の違い
簡単に言うと、国際的に見ると同じ軍隊と認められているが、「自衛隊」だけ名称が違うということ、「軍隊」は「交戦権」に基づき、「自衛隊」は「自衛権」に基づいた活動をするということです。
これだけだと理解が難しいと思いますので、次からは「軍隊」と「自衛隊」の定義、「交戦権」、活動内容と国際的な位置づけという点から、分かりやすく説明していこうと思います!
「軍隊」と「自衛隊」の定義
まず、「軍隊」と「自衛隊」の定義とは何なのか?
「軍隊」というのは世界では一般的な名称であり、組織化された戦闘力を持つ実力組織です。主に戦争や安全保障活動に従事します。
「自衛隊」というのは、日本だけで使われている名称です。
憲法第9条により、日本では相手国を壊滅的に破壊するための武力の保持はできません。例としては、弾道ミサイルや攻撃型空母、戦略爆撃機などの攻撃に特化した兵器の保有は許されないと考えられています。しかし、外国からの侵略行為を防ぐために必要最小限度の戦力の保持だけは許可されています。
定義については「軍隊」と「自衛隊」は名称の違いがあります。
「自衛隊」のみ「交戦権」に基づく武力行使ができない
世界中の「軍隊」は「交戦権」に基づいて武力を行使することができます。
「交戦権」というのは国際法においても認められている他国と戦争する権利のことです。日本以外のほとんどの国の「軍隊」では「交戦権」が認められています。
その点、「自衛隊」では憲法第9条により「交戦権」が認められていません。では、「交戦権」がないから侵略行為に対する武力行使もできないのかというと、そうでもありません。
そもそも「交戦権」とは、戦いをする権利だけという意味ではなく、相手国の「軍隊」の破壊と相手国の「領土」の占領などの権利も含みます。
その代わり「自衛隊」では、「自衛権」の行使は認められています。「自衛権」の行使にあたっては、日本を防衛するための当然の権利として、認められています。
「交戦権」と同じ破壊と殺傷でも、それは「交戦権」の行使とは別の観念であるとされています。何だか難しいですね。
要約すると「自衛隊」は「交戦権」ではなく、「自衛権」に基づいて武力の行使が行うということです。
「軍隊」と「自衛隊」の活動内容と国際的な位置づけ
次に、「軍隊」と「自衛隊」の活動内容と国際的な位置づけについてです。
「軍隊」は国の安全保障や外交政策に基づいて様々な活動を行います。例として、国内の治安維持や災害救助、国土の防衛、同盟国や国連などの要請に応じた派遣や平和維持活動、敵対国やテロ組織などへの攻撃や制裁などです。
「自衛隊」は専守防衛に基づいた活動をしています。例えば、国内の治安維持や災害救助、国土の防衛、アメリカ軍との協力活動、国連を中心とした国際平和協力活動や人道支援活動などです。
「自衛隊」は攻撃的な軍事行動はできませんので、「軍隊」のような報復攻撃、軍事制裁はできません。「軍隊」との活動内容の違いが分かると思います。
しかし、「軍隊」と「自衛隊」は国際法上においては同じ軍隊として扱われていて、自衛官は軍人として扱われます。
ですが、「自衛隊」は憲法第9条によって制約されていて、通常の軍隊とは異なるものです。そのため、「自衛隊」は日本独自の存在で他国と比較することは難しいと言えます。
まとめ
「軍隊」と「自衛隊」の違い、いかがだったでしょうか。
世界からみたら立派な軍隊。しかし、「交戦権」が認められておらず、活動内容も違うという異質な組織、それが「軍隊」と「自衛隊」との違いです。
近年、「自衛隊」に対する任務と期待が重くなってきています。
それに比例して、法律の改定や憲法の解釈も年々難しくなってきています。日本の防衛は、どうあるべきか、私たちも真剣に考える必要がありますね。
コメント
わかりやすかったです